福岡県⽴福岡⼯業⾼校 電気⼯学科1年生の特別授業 8月31日

「知的財産に関する創造力・実践力・活用力開発事業」授業を担当させていただきました。

夏休み明けて2日目、日に焼けた元気な顔が並ぶクラスです。

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今回の授業のねらいは主に3つありました。

・自分の脳内のセルフブレインストーミングによる開放的な問題解決を図ること

・自分の脳の使い方を学ぶこと~集中、連想、リラックス、イメージ、グルーピング

・チームで行う共有や協働活動で相互作用を起こすこと

 

●まずは、「自分を絵にしてみよう」のワーク

 ラグビー部の生徒さんはラグビーボールを、メロンが好きな生徒さんはメロンを書いています。

 まずは、自分がよく見るモノやコトの引き出しの中から引っ張ってきます。

 日常の記憶の中から(顕在意識から)絵にしてみます。絵の上手さは関係ありません。

 でも、なかなか速く描けています。

 ここで注意は、「色」を使うことです!

 
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●講義
皆さんが前をしっかり見て集中していることがわかります。
これから何をするのか、ワクワクしている顏です。
いくつかの頭を柔軟にする絵を見る準備運動を行いました。
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●マインドマップを描いてみよう
先ほど書いた絵に、今度は枝を伸ばして、言葉を載せてみます。
その枝にまた、もう一つの枝を伸ばしていきます。
どんどん連想を続けていきます。終わりがないくらい、白い紙にいっぱい描き続けていきます。
手が止まらないように、あれこれ判断や評価を入れないようにします。
単語をつなげていくだけなので、ペンを取ったら面白いように、描けていけます。
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 どんどん描けています。
「その色貸して」「ちょっと見てよ、これ何に見える?」
「うわ、すごい」「あー。発見できた」
「んー、思い浮かばない・・・」
グループ内でワイワイ・ガヤガヤと脳内の独り言が、グループ内の発見になっていきます。
楽しいこと、夢中になることが集中をつくります。
 
●描いた感想をシェアしよう
描いてみて感じたこと、わかったこと、難しく感じたこと、納得したこと・・・
描いたら振り返ります。
それを、グループの人に伝えていきます。
みんなは、お互いのことを、「えー」「すごい」「そうなんだ」・・・、と
感心したり、共感したりという時間になりました。
描いたことを説明するのも簡単にわかりやすくできるのは、マインドマップという1枚の図のお蔭です。
たくさんの言葉で説明しなくても、言いたいことが、1枚で表現できてしまう簡潔さがあります。
見る人にとっても理解が早く、わかりやすくなります。
 
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●今の困りごと、問題、悩みって書いてみよう
「朝、なかなか起きられない」
「勉強に集中できない」
「わさびが食べられない」・・・なんていう悩みをマインドマップで描いていくうちに
解決できてしまうことがわかります。
モヤモヤを単語で並べていくうちに、脳が勝手に、解決方法をひっぱって来てくれるのです。
「なんだ、そうすれば良いのか」と自分の内側からの答に納得できるのでびっくりです。
 
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 マインドマップは書いているうちに、見えなかったものがハッキリしていきます。
やりたいこと、好きなことが、自分の内側からあふれてくることがわかります。
潜在意識が顕在化して、無意識が見えるようになる瞬間です。
また、発散と収束を繰り返すので、右脳と左脳をバランスよく使い、スッキリしていきます。
 
また、色を多く使うことで、記憶の定着、理論的な整理にも大いに活用できます。
 
スマホ時代の高校生にはどうしても情報過多の受身な姿勢になりがちです。
ぜひ、自分の脳で発生させて感性豊かに過ごしてもらいたいです。
 
●レゴ®シリアスプレイ®
休憩をはさんで、次には「レゴ®シリアスプレイ®」のワークを行いました。

このワークでは、個人の内側に秘めている価値観や志など、はっきり見えていない

ぼんやりしたものがレゴブロックで「形」になります。

それを言葉に置き換えたり、質問に答える中で考えが整理され、新しい発想が得られます。

故シーモアパパート教授(マサチューセッツ工科大学)の『人はモノを作る時、新たな知識を得る』

というコンストラクショニズムの学説がベースになっています。

レゴを用いることで、手を動かし、右脳と左脳の双方アプローチで考えることができます。

 

●まずは、高いタワー作りでレゴに慣れます。

自分らしさが出ています。

クラス1高いタワー、どっしりしたタワー、おしゃれなタワー、
材料を全部使ったタワー、モザイク調のタワー・・・

どれも個性的です。

 

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●未知の生き物を作ろう
レゴを、5個だけ使って、未知の生き物を創ります。
羽があったり、潜ったり、どこにでも行けたり…色々な特徴。
これは自分の願望かもしれませんよ。
作品の特徴を説明し合います。
形を作った意味を、自分に問いかけていきます。
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他の人の作品の説明を聴いて、「へえ、そうなんだ」と、感心したり興味もったり、
その作品のもつ意味を知って納得したり、友人の新たな一面を発見することもできました。
 
■自分の現実と、未来
問題と感じている自分を俯瞰することで、解決できている未来の自分も創造できます。
今回は、「こんなクラス、いやだ」の作品を作った後に、
「こんなクラス、いいな」というチーム合作をしました。
学校で困っていること、沈んでいること、うまくいかないと感じていることが
皆の作品を持ち寄ることで、みるみるうちに一気に解決した姿になって
できあがっていきました。
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●チームで合体作品
個人がつくった作品を4.5人のチームで集めて、1つの大きなモデルを作ります。
誰か一人の作品を、代表者として選ぶのではなく、
一人ずつの作品・全員分を必ず置き、一緒に集めていきます。
しっくりいく位置や高さにつくりあげていきます。
皆の気持ちが一緒になること、全員の部品がそれぞれを形作って共有されること、
気持ちが形になってみると、改めて、見たこともないけど収まりのある、何だかすごく
かっこよい魅力的な構造物になっていることに感激してしまいます。
時間制限はありましたが、どのチームも、自分らしく、ワイワイと一緒に手を動かして
出来上がった作品に、満足、納得の表情を感じました。
「楽しぃ!」「面白れぇ~」
そして、最後にタイトルを書いて完成です。
 
●タイトル化したチーム作品
このチーム作品を言葉にして表現して、まとめます。
何を意味していますか?何を、良い学校、良いクラスのキーワードにしますか?
作品のまとめとして一言で表します。左脳を使いましょう。
付箋に書いて貼ったらできあがりです。皆で全チームを見て回り、拍手!
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さすが、工業高校生だからなのか、形がきれいに整っていると感じます。
中身は、迫力ある動き、豊かな感性、躍動感ある作品が並びます。
とても活力に満ちていることがわかります。
どの作品もにぎやかで、明るく笑いにあふれていました。
脳がスパークしたのかもしれません。
 
教科書を使った学習から離れて、体験型ワークをしていただきました。
グループで協調しながら1つの課題に取組むワークは、コミュニケーションや問題解決力を鍛えます。
グループやクラスの集合活動は、皆の結束を強めます。
また、「他者の知恵」を引用する、「他者の言葉」からの連結は面白いようにどんどんと広がります。
「他者に乗っかる」楽しさを感じてもらえたのではないでしょうか。
 
発明や発見は、大それた勉強や研究から生まれるというよりも、
日常の指や身体を使った「問題意識」「問題発見」が小さな解決の糸口になります。
「こんな〇〇があったらいいな~」と思いついた時点で、
すでに、脳は新しい発見をしているのです。
 
「困った」「悩むわ」「嫌だな」・・・ということから、
マインドマップに書いてみる、レゴ作品にしてみる、そのスタートを、今回は体験していただきました。
 
先生が問題を出して、解答を考える授業形態ではなく、
「自分で課題を作る」ことから開始しました。
あなたは、何が好きですか?
あなたは、どんな人ですか?
あなたは、どんな問題を抱えていますか?
あなたは、どんな学校生活にしたいですか?
その答えは、誰も教えてくれないのです。
自分の指をカラーペンをもって、ちょっと動かしてみましょう。
自分の脳が回答してくれます。
脳は楽しいこと、前へ進むこと、成長することが大好きです。
 
自分の脳は、指を使うと、動き出します。
じっとしていると、脳は、何もしてくれません。
少し脳が疲れた1日となったかもしれません。
明日からの学習に活かしていただきたいです。
 
福岡県⽴福岡⼯業⾼校、電気⼯学科1年生の皆さま、楽しい時間に感謝いたします。
生徒の皆さんの明るさ、素直さ、清らかさ、熱心さにたくさんのパワーをいただきました。
先生方の大いなるご協力感謝いたします。
こんな高校、いいなぁと思いました。
ありがとうございました。         担当:深月敬子