身だしなみ「男女別はやめて」の声

当社の接客研修、ビジネスマナー研修での身だしなみ編の指導の際にご意見をいただくことがあります。
「LGBTQの時代に、男性はズボンに短髪、女性はスカートに化粧、のこの図を基にした指導は時代遅れも甚だしい。この指導には従えません」
という声です。とても先駆的なご意見ですが、なかなか回答が難しく感じます。まだ国内の法律も未成立でもあり、社会の方が追い付いていません。

当社では、クライアント企業から「服務規律」「身だしなみマニュアル」の情報をいただいて研修企画を行い、
企業ごとに指導内容もカスタマイズして研修講師をしております。
ですので、所属されている企業が、男女別の制服や男女別の規定を設けていらっしゃる場合はそちらに従った指導を行うものです。
LGBTQを考慮して、服装も男女同一にして指導して欲しいというオーダーはまだなく、依然として伝統的な服装指導を行っているのが現実です。
「男子はズボン、女性はスカート」「男性は化粧しない、女性は化粧」・・・などの性別による表記はほとんどの企業にマニュアルにされております。

が、それにしても、そのようなご意見は、今後も増えていくかもしれないいう予想が少なからずあります。
服装は個人の自由で身に着けるもので、仕事中の身だしなみにも同様に個性重視で扱って欲しいという意見は増えるでしょう。なぜ、リクルートスーツはみんな紺色なのか?個性は感じられないからです。カラフルでも、スーツでなくても良いのではないかと感じている人も多いのではないでしょうか。

そもそも男性がズボンしかはいてはいけないという決まりはありません。
歴史的に見ると、古代エジプト時代から男性も女性もスカートのような筒の形の衣類を身に着けていました。日本では着物というやはり巻いて合わせる衣類を男女共に着用していました。またスコットランド地方の男性正式衣装はスカートです。
世界の男性くがズボンをはくようになったのは、1789こったフランス革命がきっかけでした。革命こした労働者たちが履いていたのが、長ズボンでした。

さて、企業内での身だしなみ指導をどうすべきか?という現実問題ですが・・・私の意見ですが、下記のどれかを重視して基準を決定していただければよいのではないかと思うのです。

①標識としての役割(職種や役割を視覚的にわからせる)

②見せるための服装(衣装として印象づけ、PR、表現要素)

③動きやすくするための服装(仕事がしやすい、安全、保護)

例えば、ホテルのフロントなどでは、見せるため、かつ会社の窓口として標識機能が必要です。ですから①と②が優先的に重視され、③の優先度が下がります。なぜなら、多くの宿泊客や利用客との接点であり第一印象を決定づけ、見せることによってホスピタリティや安心感を提供する部署だからです。自分が着たい服や自由な服装はできにくくなります。その際、宿泊という場面特性から、同性からサービスを受けたい、異性に意見を聞きたいなどの顧客の要望が高まる職種とも言えるため、男性は男性らしく、女性は女性らしい服装の方がメリットがあると言えます。

反対に、ほとんど顧客との接点がない、在宅のプログラマーはどうでしょう?③だけで良いのではないでしょうか。仕事がしやすい服装が最も大事です。窮屈なスーツや華美なアクセサリーなどは不要になります。もちろんオンライン会議や、時々接客時間が発生したら、その時には①や②も採り入れた服装にチェンジする必要がありますが・・・。いずれにしても、男性らしくある、女性らしくある、という役割があまり必要でない業種や職種の場合には、身だしなみ規定を複雑にしなくても良いかもしれません。それよりも、社内のコミュニケーションが活発化するしくみを採り入れる方が優先度が高いかもしれません。

いずれにしても、優先的な役割や目的に応じて、また状況や接触する相手に応じて、柔軟に変えていきながら、かつ自分らしい個性を演出できる服装ができると仕事時間が楽しいものです。身だしなみを一律に強制することとせず、着させられている、やらされている時間にならないよう、組織内で話し合うことをお勧めします。

 

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