医療現場では「チーム医療が大切」とよく言われます。
しかし、頭では理解していても、他職種の専門性への理解やコミュニケーションの難しさは、実際に働く中で強く実感するものです。
目次
Toggle今回、総合病院での新入職員フォローアップ研修として与えられたテーマは、「チーム医療って何だろう?」です。このテーマを座学ではなく、レゴ®シリアスプレイ®を使った対話型ワークショップとして実施しました。
理由はシンプルです。
――体感しなければ本質はつかめないからです。
1. 研修の目的:チーム医療に必要な“理解”と“つながり”をつくる
① チーム医療の推進
各職種が互いの役割や専門性を理解する
連携・協力体制の必然性を体感する
「自分はチームの中で何を担っているのか」を自覚する
② コミュニケーション能力の向上
異なる職種間での情報共有・意見交換・意思決定のプロセスを学ぶ
自分のスキルを棚卸しし、これからの行動課題を言語化する
テキストを読むだけの座学では、「わかったつもり」で終わってしまう。
だからこそ、視覚化し、語り合い、共有するレゴ®シリアスプレイ®(LSP)を採用しました。
LSPは、「その人自身を知る」ことに非常に効果があります。
一緒に働く他部署の仲間の“人となり”がわかると、自然とコミュニケーションは深まり、職場の安心感が高まります。
それは、まさにチーム医療の土台そのものです。
2. この研修の特徴
【レゴ®シリアスプレイ®でチーム行動を“見える化”】
レゴブロックで抽象的な概念を形にすることで、
意思表示の明確化
他者理解の促進
チーム結束力の向上
問題解決の視点
ビジョン共有のスキル
が自然と身につきます。
「感覚的に働く」のではなく、
“言葉にできる、説明できる”コミュニケーション力が育つ点が、医療現場と非常に相性が良いのです。

3. 研修の実際の流れ
① 自己モデル:この6ヶ月間をレゴで振り返る
お題1:入職後6ヶ月を振り返る
作品をつくりながら、
がんばれたこと
自分が大切にしてきた価値観
パワーを使ったこと
を語ることで、自分自身を客観視します。
→ 他者からの質問が入り、「自分を語るのが苦手な人」でも自然と共有が進みます。
お題2:自称“ポンコツな私”
うっかりミス
機械・方向音痴
小さな失敗談
いわば“弱みの共有”。
このワークは場の空気が一気に和らぎ、笑顔が生まれます。「安心して話せる関係」がチームにとって重要なことが、体感を通して理解できます。
② チームモデル:理想のチームをつくる
お題1:理想のチームとは?
安心して力を発揮できる状態
誰が何に強いか理解できている状態
連携がスムーズで、信頼感があるチーム
メンバーがつくった作品をきっかけに、「私たちは何を大切にしたいのか?」という本質的な対話が生まれます。
お題2:私の貢献
理想のチームに向けて、私が担える役割
自分がどこに位置し、どう関わるか
“悪夢の病院”とのギャップを埋めるためにできる行動
これを語ることで、役割意識と行動意欲が明確になります。
③ チーム共有モデル:作品を集めて「私たちのチーム像」をつくる —-
全員のレゴ作品を模造紙に配置
チーム全体の特徴を、ひとつの“モデル”として見える化
最後に「私たちはこんなチームです」とプレゼン練習
視覚化することで、
抽象的だった“チーム医療”が、チームの姿として立ち上がる瞬間が生まれます。

4. おわりに ― チーム医療は、スキルではなく“関係性”から始まる
今回の研修で強く感じたのは、
チーム医療は、制度や知識ではなく、“人と人の理解”から始まるということ。
レゴシリアスプレイを使うと、
普段話さない価値観や弱み、強みが自然と共有され、
「このチームでなら頑張れそうだ」という安心感が生まれます。
そしてその安心感こそ、
患者さんにより質の高い医療を届けるための、最初の一歩なのだと思います。
研修は単なるイベントではありません。
「行動が変わり、関係が変わる瞬間」をつくるための場。
これからも医療現場に寄り添いながら、
チームづくりの支援を続けていきたいと思います。
